「ばがむらぎ」こもりうた沖縄

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【歌詞】

1.ばがむらぎ うえがらしゃば ヨホイ

 (私がお守りして育てたら)

  あにがくぎ うえがらしゃば ヨーホイヤラ

 (姉さんが揺らいで育てたら)

2.しとうがたき なりならば ヨホイ

  ゆしゅがたき なりならば ヨーホイヤラ

 

(むらぎ=わたしが守り  うえがらしゃば=したならば  あに=姉

 くぎ=ゆらり  しとうがたき=人の丈  ゆしゅがたき=他人の丈)

 

【楽譜】

 

 

宮古多良間島の子守唄です。

沖縄の言葉は、本当に難しいですよね。意味を書いておきます。

 

ばがむらぎ=わたしが守り

うえがらしゃば=したならば

あに=姉(子守女性)

くぎ=〈漕ぎ〉ゆらり

しとうがたき=人の丈

ゆしゅがたき=他人の丈

 

これだけだと、よくわかりませんでした。 それで調べてみると、歌詞が少し違うけど訳がありました。

 

①我(ば)が守(む)らぎ うぇがらさば ヨーホイ   (私がお守りして育てたら)

 姉(あに)がくがぎ たきわさば ヨーホイヤラ   (姉さんが揺いで大きくしたら)

②人(ぴとぅ)がぱな なりぅとり ヨーホイ   (他人よりすぐれた人になりなさいよ)  

よすがぱな なりぅとり ヨーホイヤラ   (他人の上に立つ人になりなさいよ)

 

〈漕ぎ〉とあるように子守の揺らすリズムは船を漕ぐリズムと同じで、ゆっくりとした調子の唄ですね。 歌詞を意訳すれば、姉(子守女性)が子守した子どもが大きくなったら字も上手で学識豊かな、人の上に立つような人になりなさいという感じです。

沖縄、奄美琉球弧の子守唄には子守奉公のうらみつらみの暗さはなく、むしろ、子守することに一種のプライドを持っていたそうです。

多良間島をはじめ八重山諸島では子守女性を「守姉(もりあに)」と呼んでいました。

 

 

「鹿児島沖縄のわらべ歌」(1980年刊)の中では「守姉」を次のように解説しています。  

「赤ん坊が生まれて一カ月ほどたつと、近所の女の子に『守姉』に頼んだ。頼まれた女の子は、よろこんで引き受け…赤ん坊の家で家族同様の待遇を受け、夕飯をご馳走になったり、祭日には贈り物をもらったりするのが常だった…『守姉』は守りをする子が立派に成長するまでは、教養を含めて責任をもつのである…『守姉』は生涯慕われた」

 

「守姉」は、子ども時代だけでなく、成人になっても教養や礼儀作法を教える師のような存在だったみたいです。  

=2016/09/26付 西日本新聞夕刊=より引用